御在所岳の足慣らしの後、高天原温泉か北穂高岳のどちらを先に行くか迷っていたが、まずはコースの難易度が低い高天原温泉にチャレンジすることにした。時間は比較的自由である。なので、できれば天気の良さそうなタイミングかつ週末の混雑を避けたいと思っていた。予定では4日間の山歩きである。となると梅雨明けからお盆までの期間の平日がベストタイミングとなる。後は交通機関の確保も必要である。
計画
御在所岳への登山後は、カレンダー、天気予報、交通機関の空き状況との睨めっこである。4日間晴れ続けるのは流石に難しいが、できるだけ天気が良い日を選びたかった。登山ルートは富山県の折立までバスで行き、ここからから入山。初日は薬師沢小屋宿泊、2日目は雲ノ平経由で高天原山荘宿泊、3日目は三俣蓮華岳、双六岳経由で双六小屋、そして最終日は新穂高温泉へ下山し、バスで帰宅する予定であった。実際睨めっこしてみてわかったが、日程調整上で一番制約となったのは、富山から折立までの早朝バスと双六小屋の宿泊予約であった。出発一週間前にもなると、平日でも既に満席となっている日が多い。日々変わる天気予報とも睨めっこし、パズルのようにいろいろと組み合わせを考えていた。なかなか組み立てられなかったが、ある瞬間に双六小屋の空きが出てすぐに予約確保できたことで、日程が決定した。出発数日前だったと思う。
初日:折立~薬師沢小屋
登山前日は、名古屋までは鉄道、そこからは夜行バスで富山まで行き、そこから折立行きのバスである。そして登山口の折立が下写真。久しぶりの山小屋泊の登山である。準備は大丈夫か、改めて心配になると共に、ワクワクしてきた。

今回新たに購入した道具があった。トレッキングポールである。今後も高頻度で登山するわけでもないし、どのくらい役立つかも分からなかった。ただ、少しでも体力温存の役に立つなら欲しい。名の通ったメーカーのポールは結構高価でもあったので、今回はアマゾンで2本で2400円程度のものを購入した。1つ気を付けたのは、次回北穂高に行くときには、岩場ではザックに入れる必要があると思ったので、3つ折りで折りたためるものにした。

今回初めての使用になるが、歩きはじめでは少しぎこちなかったが、段々と慣れ、結構歩行の補助にすることができた。尚、安物で高級品と比べると少しがたつきがあるが(クリアランス大)、今回の登山及び北穂岳でも使ったが、最後まで壊れずに機能してくれた。太郎平小屋前で、持ってきた昼食(おにぎり)を食べ、ここからはひたすら下って、15時ころには薬師沢小屋に無事到着。ここまでくるとホントに山奥の秘境に来た感が強い。下の写真が薬師沢小屋であるが、黒部源流の傍らに建つ、素敵な小屋である。

到着後は、川辺におりて、ボーとしていたが、本当に気持ち良い。水も奇麗で浸かっていたい気になるが、あまりの冷たさに10秒程度が限界だったように思う。

2日目:薬師沢小屋~雲の平~高天原温泉
2日目は、小屋で朝食後、6時前に出発。まずはこの吊り橋を渡る。

吊り橋を渡ってすぐ分岐点があり、どちらからでも高天原温泉にいけるが、直接向かう左のルートは状態が良くないと聞いたことと、雲の平には行ってみたかったので、右の雲の平への直登ルートに進み、約2時間ひたすら登った。

急な坂を登り切って暫く歩くと遠くに槍ヶ岳が見えた。下写真の左奥である。特徴的なこの山は、遠くから見ても一目でわかる。非常に遠くにあるが、明日は槍ヶ岳のすぐ近くまで歩く予定になっている。本当に歩けるのだろうかと少し不安になった。

さらに平坦な道を歩くと、視界が開けた。雲の平である。天気も良く歩いていて本当に気持ち良い。

そのまま歩き続け、雲の平山荘を過ぎ、スイス庭園まで行って、昼食のおにぎりを食べた。下写真は、スイス庭園への分岐である。

ずっとここにいたい気にもなるが、本日は最大の目的である高天原温泉なので、先に進むこととした。雲の平山荘近くまで戻ってから、高天原方面へのルートへ入り、暫く登った後は、下りが続く。そして13時過ぎには高天原山荘に到着。チェックイン後荷物を整理して、早速温泉に向かった。温泉までは徒歩約15分くらいだったと思う。温泉は3つあり、塀に囲まれた男性用と女性用がそれぞれ1つ。そして下写真の露天が1つ。この露天風呂は周りに全く何もなく、また登山道のすぐ脇にある。私が来た時には誰も入っておらず、私も躊躇したので、まずは周りに囲いのある温泉に入った。しかし、せっかくここまで2日間も歩いてきたのだから、やはりこの露天風呂に入りたくなり、露天に移動。囲いの中とは全く違う解放感がある。本当に気持ち良かった。私が来た時間が早かったので、最初は人も少なかったが、少しずつ増えてきた。ずっと入っていると熱くなるので、そうなるとすぐ横の川に浸かった。こちらは本当に冷たく、そんなに長くは入っていられないが、全くの裸で川に入るのは初めての経験でもあり、これも本当に解放感があって気持ちよかった。湯に入ったり、川に入ったり繰り返し、2時間弱の間ここを楽しんだ。天気も快晴。文句なしに気持ち良かった。ここにいた人は皆同じように感じていただろう。本当に贅沢な時間であった。尚、下の写真は私が裸で入っているところを撮ってもらったのであるが、ここに掲載するには少し微妙だったために、WEBのAI画像処理で人物除去したものである。初めて使ったが、意外とうまく簡単に除去できることに驚いた。

3日目:高天原温泉~双六小屋
今日は昨日見た槍ヶ岳近くの双六小屋までの行程である。小屋で朝食後5:40に出発し、まずはひたすら登りである。

岩苔乗越を経由して、黒部川の源流を下った(下写真の谷筋)。TVでは見たことがあったが、流れができ始める真の源流である。改めて山深いところまで来たんだと感じた。

暫く源流に沿って下った後は、また登りである。そして三俣山荘前で昼食(おにぎり)を食べたのが11:00前後。ここには中国からの団体登山者もいて、結構賑わっていた。

昼食後は、また登って、三俣蓮華岳山頂まで登頂。槍ヶ岳が近づいてきた。

また来た方を振り返ると、先ほど歩いた黒部源流(下写真の右側の谷筋)が良く見える。

その後は双六岳山頂へ。

本当は、下写真の登山道の真正面に槍ヶ岳が見えるはずだったが、少し雲が出てきて、この日はこれ以降槍ヶ岳を見ることはできなかった。でもこの道を下れば本日の目的地である双六小屋である。双六小屋には15時過ぎに到着。

今回、久しぶりに山小屋に3泊したが、コロナ以降?状況が大きく変わったようである。以前(30年以上昔)は一人で布団一枚のスペースが無いことが多かったが、今はどこも予約制になって、一人布団一枚のスペースがしっかり確保されている。そして宿泊費はだいぶんと高くなっている。スペースがあることはうれしいが、特に人気のある小屋は平日でも予約が大変で、行程が組みにくい。一長一短である。今回は運よく理想の行程を組むことができたが、山小屋で話をしていると、それができずに妥協の行程で登山に来ている人も多かった。
4日目:双六小屋~新穂高~帰宅
本日は最終日、ほぼ下りである。今日も天気は最高。今日は下山後にバスの予定なので、小屋での朝食は無しで4:30頃に出発した。

暫く尾根道が続き、景色は最高である。ところどころで小休憩しながら、持ってきたけど余っていた予備食のカロリーメイトを食べながら下山した。

鏡平山荘は7時前に通過。

ここからも槍ヶ岳が美しく見えていた。

暫く進むと、オコジョ?が現れた。登山道へ出てきたり、茂みへ隠れたり、何度か繰り返していたが、暫くすると居なくなった。

新穂高には10:30頃到着し、バスの時間を確認後、中崎温泉へ。その後は、高山までバスで移動後、そばを食べて、またバスで岐阜へ。岐阜からは鉄道で帰宅した。
久しぶりの山小屋宿泊登山であったが、行程、天気ともベストに近い登山となった。また、心配していた骨折の悪影響や捻挫等の怪我もなく、北穂高もなんとかなりそうな気がしてきた。