電源系改良の目的の1つは、ヨットがどこにいても電子レンジが使えるようにすることである。12V280AHのリチウムバッテリー及びリチウムバッテリー用走行充電器の設置は前回までに完了したので、次にインバータ及び電子レンジの設置に取り掛かった。
2000Wインバータ設置及び配線
インバータ本体は体格が大きいので、走行充電器設置時に場所取りを兼ねて設置済である。インバータ設置で最も苦労したのは、バッテリーとの配線設置であった。最初から全ての配置をきちんと設計しておけばいいのであるが、配線の硬さや取り回しなど、机上だけではなかなかわからないことも多く、どうしても現物合わせになってしまう。またいろいろ作業している中で気付くこともあり、詳細の検討はどうしても設置直前になってしまう。今回最も苦労したのは、インバータとバッテリー間の配線設置であった。配線はいろいろ検討した結果、最終的にマイナス側は付属の40SQの配線(2本で構成)を使用、プラス側は間に200Aヒューズとスイッチを設置したかったので、38SQのKIV配線を購入した。電気損失を減らすためインバータをサブバッテリー近くに設置したかったこと、かつ何かあっても作業しやすいように見えやすい位置に設置したかったために、狭いスペースに配置することにしたため、配線の取り回しがどうしても窮屈になってしまう。また、インバータ本体には電源ON-OFFのスイッチがあるものの、下写真左端のACC電源スイッチを経由せずにインバータとバッテリーと直結した(配線短くして損失低減のため)ために、200Aヒューズに加えてON-OFFスイッチも配線中に設置したくなり、さらに窮屈になってしまった。いろいろ考えて、もともと設置されていたバッテリー設置室換気用の穴の上にON-OFFスイッチ(下写真中央部)を設置し、その穴を利用してバッテリー設置室内に配線を取り込むこととした。

また200Aヒューズはバッテリー設置室内に下写真のように配置。尚、少し見えにくいが、下写真左奥の穴が換気用の穴で、この穴の外側にON-OFFスイッチが設定されている。配線は38SQクラスになると太くて固いため、配線の配置を決めるためには、実際に配線を仮置きしてみて、曲がり具合や端子への力のかかり具合を確認する必要がある。

このような検討をして、配線配置と長さを決め、配線を切断して、両端に圧着端子を取り付けた。しかし、配線の切断も、圧着端子の取り付けも、簡単にはできない。配線切断は、前オーナーがヨットに残してくれていた大型のワイヤー切断用カッター(デスマスト時にステーを切断することを想定したものか?)があったので、これを使って切断した。圧着端子の取り付けは、下写真の工具をアマゾンで購入。ユーザーレビューには、「線が太い場合は、人力では圧着不可。バイスを使って圧着した。」との記載があったが、そう何度も使うものではないし、私もバイスで圧着すればいいや、と考え、比較的低価格の工具を購入。ユーザーレビューの通り、人力では圧着無理であったので、バイスを用いて圧着した。

インバータにはスイッチのON-OFFができる有線のリモコン(下写真の右上)が付属していたので、最後にそれを取り付けて設置は完了した。

電子レンジ設置
電子レンジ選定及び設置
調理用の火力として、現在はプロパンの2バーナーレンジがジンバルに付いているが、最終的には電化しようと考えている。電化した場合には、電子レンジとIH調理器を設置したいと考えている。プロパンは、ボンベにガスを入れるのが面倒であることと、ガスの元栓がヨットのスターン部(ボンベ設置場所)にあるので、毎回開閉にそこまでいくのも面倒であった。現時点では、まず最初のステップとして、プロパンガスレンジは撤去せずに(最終的に残す可能性もゼロではない)、電子レンジを追加したかったので、どこに設置するかが重要であった。常置できて、あまり他の邪魔にならない場所としては、下写真の水切りラック(前オーナー設置)の場所が最適に思えた。この場所の寸法を測ると、電子レンジには少し狭い。しかし、電子レンジにもいろいろなサイズのものがあるので、いろいろ調べてみた。数十は調べたと思うが、その中で唯一このスペースにぎりぎり設置できそうなものがあった。カタログ記載だけでは電子レンジ突起部の寸法などわからなかったので、メーカーのお客様対応窓口にメールして最終確認。最終的に選択したのは、山善のYRM-HF171である。本当はターンテーブルの無いものにしたかったのであるが、これはターンテーブル付き。でも外寸優先でこれに決定し購入。

そして設置した写真が下記。ギリギリではあるが、なんとかこのスペースに設置することができた。

AC100V配線
後はAC100V配線である。まずは延長ケーブルでインバータと電子レンジをつないで電子レンジの作動テストはしてみたが、問題なく作動。但し毎回延長ケーブルを取り付けたり外したりするのは面倒なので、固定の配線を設置した。この配線は交流なので、直流と比べると長くなっても損失は少ない。配線の取り付けには小さい穴を通したり、いろいろな物の裏側を通したり、面倒ではあったが、無事完了。コンセントは最終的に電子レンジをジンバルに取り付けたときでも使いやすいように、ジンバル奥に設置した(下写真)。

設置後は、レトルトカレーなど電子レンジで調理できるものを船内で数回食べたりしているが、問題なく使えている。公称出力650Wの電子レンジであるが、インバータの出力表示を見ていると約1000Wとなっている。尚、この2000Wインバータは、瞬時であれば4000Wまで大丈夫らしいので、電子レンジであれば余裕を持って使えることになる。今後はIH調理器含めて、ジンバルを活用してどのように配置するか、使いながらしっかり考えていこうと思う。
後日追記
後日、床下をチェックするために床板を外そうとして、初めて気付いたことがある。床板が以前のように外せないのである。外したい床板は下写真の緑部であり、板を下写真の下側から上げようとすると、左のドアの金具(青丸部)が干渉して上がらない。左から上げようとしても、左ドアの金具が干渉して上がらない。上から上げようとすると、別の金具(青丸部)が干渉して上がらない。という訳で、これまでは唯一可能な右側から持ち上げて、少しずつずらしながら取り外していた。しかしそのことに全く気付かずにインバータ等を取り付けてしまった。なので、右側から持ち上げることもできなくなってしまったのである。

非常に困った。左側のドアを開ける(下写真)と、ドアに付いてる金具は干渉しなくなるが、ドアそのものが干渉してしまう。と思ったのであるが、実際やってみると、ドアを開けた状態では、床板を写真下側から持ち上げる場合の干渉物が無くなり、下側から持ち上げればドアそのものに干渉せずに、少しずつずらしながらであるが床板を取り外すことができた。インバータ等取り付け時には、考えられる限りのいろいろなことを考えてはいたつもりだが、検討項目から抜けていた。偶然ではあるが、取り外せて良かった。
