燃料タンク上部からの燃料漏れ

ヨット整備

サイフォン式手動ポンプ停止の仕組み

燃料タンクはコックピットロッカーにあり、時々コックピットロッカー内の軽油臭が気になっていたが、このロッカーには軽油予備タンク(ポリタンク)や燃料移し替えで使う手動ポンプも入れてあったので、仕方ないのかな、とあまり気にしていなかった。今回メーター読みで燃料量が半分以下になったので、手動ポンプを使ってポリタンクから燃料タンクに燃料を供給。私の燃料タンクは容量80Lなので、40Lくらい入るかなと思いつつ、このメーターの癖はまだ把握してなかったので、少し注意しながら行うこととした。

30L程度までは作業は順調だったが、そこで燃料の流れが止まった。もう少し入るだろうし、サイフォン式ポンプの空気漏れかな、と勝手に考えて、追加でポンプをペコペコ動かしたのが失敗だった。注意しながらと思っていたのに、全く不十分で、軽油が少しデッキ以上に溢れてしまった。

ところで車に燃料入れるときに、満タンに近くなるとどういう仕組みで自動停止するのか?これまで知らなかったが、タンク内の空気圧の急上昇を感知して止まる仕組みのものが多いらしいことを初めて知った。サイフォン式の手動ポンプにはそんな仕組みは付いてないが、考えてみるとサイフォン式は油面の空気圧差(ポリタンク油面と手動ポンプ出口)で作動しているし、ヨットの燃料タンクの空気抜き穴の大きさ(空気流量抵抗)、給油穴と手動ポンプに隙間(空気流量抵抗)、給油流量(燃料タンク内空気の昇圧速度)などの影響はあるのだろうが、これらが絶妙なバランスでほぼ満タンに近づくと、燃料タンク内圧が急上昇し、ポリタンク内圧より高くなることで自動的に燃料の流れが止まったのだろうか。もしそうであれば、この絶妙なバランスの、自動停止するための許容幅がどの程度あるかわからないので、例えば手動ポンプを新しいものに変えるときに、今より流量が少ないものになるとタンク内空気圧の上昇速度が鈍くなり、自動停止しなくなるかも知れない。上記推定が正しいとすると、そんな注意は必要である。これ以上正しそうな理屈は今は思い当たらないのであるが、まだもう一つしっくりとこないし、間違っているような気がする。

因みに私のタンクの空気抜き穴は、下写真の透明ホースである。

燃料漏れと暫定修理

今回は、少し燃料を溢れさせてしまったが、自動停止メカニズムの勉強にはなった。しかしそれだけでは終わらなかった。コックピットロッカー内の軽油臭が、今までになく強いのである。よくよく見ると、下写真の燃料タンクゲージの5本の取り付けネジから、燃料が少しずつではあるが、漏れ出している。ということはネジ周りの油密が悪く、かつ油面がこれ以上になっているということ。空気抜き穴の透明ホースで確認すると、確かに油面がタンク上面より10~15cm程度高くなっていた。とにかくタンク内の燃料を減らして油面を下げることが必要だ!ということでエンジンを暫く回してエンジンで消費することで、まずは油面を下げた。これで、ネジ周りからの燃料漏れも止まった。しかしこれはヨットなので、セーリングすればヒールするし、油面も揺れる。実際この状態でセーリングしてみたが、やはりある程度の軽油が漏れていた。なので、タンク内燃料が一定以上減らないと、時々燃料が滲み出てくるだろう。今まで時々軽油臭を感じていたのも、ここからの漏れが主要因だったような気がする。

シール構造は大体想像できるし、パッキン交換すれば直せそうだったので、まずは構造確認のために蓋を開けてみることとした。5本のネジを外してゲージを持ち上げた状態が下記写真。構造は想像通りで、ゴムパッキンに亀裂が入り、ここから燃料が漏れていたようだ。ゴムパッキンは補給品があれば購入するし、無ければ自作してもいいと考えた。が、外し方がわからない。上側は金属の蓋があり、それを通せるほどゴムパッキンを広げることはできない(後で思えば、新品の柔らいゴムパッキンならできるのかもしれない)。

下側はなんと燃料ゲージをタンクから取り出すことができないのである。向きをいろいろ変えてもとても出てきそうにない(下写真)。一体どうやって組付けたのであろうか?私が気付けないなんらかの方法があるのであろうが、今の私には無理そうなので諦めた。

そして、暫定改善として、可能な限り軽油をふき取って蓋をセットし、ネジ穴にシリコンを流し込んでネジ締めすることとした。軽油が付着していてもシリコンが油密してくれるか、油密までしなくても少しは改善されるのか、今後正しい修理をするときに悪さをしないのか、気になることはいろいろあったが、今できる最善策として、このようにした。下写真は、ネジ穴にシリコンを注入して、2本のネジを仮締めした状態。

この状態で組み付け、後日セーリングして、それなりにヒールもした。結果は良好。全く燃料漏れはなかった。どれくらい耐久性があるかは、今後の楽しみであるが、一旦はこれで良しとすることとした。

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