ティラークラッチ

ヨット

オートパイロットがあっても、常時使ってるわけではない。ティラーを手で操作していて、ちょっと固定したい時とか、すぐに固定したい時とかもある。そういうときにオーパイに切り替えるのは面倒なので、ティラーをすぐに固定できる仕組みが欲しい。

必要性

以前乗っていたY26C(26フィート)ではそういうニーズがあったが、OB990(32フィート)でも本当に必要か?最初はそこから考えた。26フィートヨットは、結構体力使うスポーツ感覚で楽しんでいたが、32フィート程度になるとそんなスポーツ感覚で乗れるヨットでは無いと、少なくとも今は思う。ゆったり乗って楽しむのであれば、ティラーを手で操作していて、ちょっと固定したい時とか、すぐに固定したい時とかあるのかどうか?まだ一人でセーリングに出たことないので、頭の中でいろいろ考えてみると、多分必要!というのが結論。操船で一番苦労しそうな着岸時である。少なくともまだ慣れてなくて下手な私にとっては、着岸時には微妙な瞬時の操作も必要になるので、当然オーパイは使わないし、複数の作業(スロットル、ティラー、もやい等)を一人でこなすことを考えると、一瞬固定したくなることは絶対あるはず。ということでなんらかの固定方法を準備することとした。

何を付けるか?

いろいろな製品が販売されているし、色々調べると自作している人もいる。代表的な製品としては、ティラークラッチとティラータマ―があるようだ。私は以前のヨットでは、少し高価ではあるが、ロックとリリースの操作がより簡単そうな「ティラークラッチ」という製品を使っていた。これは非常に便利であった。ただ少し前にレバーの位置がリリース状態で止まらないようになり、メンテナンスのために取り外していた。

取り外してあったティラークラッチの様子をいろいろ見ると、ティラークラッチ内部にロープの摩耗粉(繊維状)が詰まったことでレバーがリリース位置で固定できなくなっていたようなので、ピンセットや針金を使って根気よく内部を清掃すると機能が復活。なので、これを新しいヨットOB990で使うこととした。

取付方法

ティラーにどのように取り付けるか?簡単なようだがいろいろ考えることはある。下記は付属の説明書。注意点や例などいろいろ記載はあるが、これを守っても守らなくても最後は自分で決めれば良い。私は説明書を参考にはしながらも、あまり守らずに自分のニーズに合わせて自分で決めた。

一番重要なのは、船体側のロープをどこに固定するかである。私が考えた主な要件は下記の三点である。

  • できるだけ船体側に追加工せずに既存のものを使う(少なくとも暫く使ってホントにその位置がいいと実感できるまでは)。
  • できるだけロープが邪魔にならないようにする。
  • ティラーの固定位置によってはロープに弛みが発生してガタが出るが、できるだけ小さくする。

ティラークラッチ本体は、ティラーを握っている手ですぐに操作するために、ティラーの先端近くに設置することになる。ロープが邪魔にとないように説明書中央部の絵のようにロープを船のスターン側に持っていくと、ティラーが中央部にある時と、ティラーを左右に振った時で、ロープの必要長さが大きく異なるために、ティラーの位置によっては固定時にガタが大きくなる。具体的には、ティラーが中央位置(直進時)が最もロープ長が必要なので、この位置に合わせてロープ端部を船体側に固定することになるが、そうするとティラーを左右に振ったときにロープに余りが発生し、ティラークラッチを固定してもロープ余り分のガタが発生する。このガタをできるだけ小さくするためには、ロープ端部を、ティラー中央時にロープが船前後軸と垂直(真横方向)になるより少し後ろで、ティラーを左右いっぱいに振った時より少し前辺りにするのが一番良い。ロープの船側の固定位置は、上記の説明書の左側の図よりさらに船の前側となる。(図解すればわかりやすいのだが、手間がががるのでまずは文章のみにて説明。) しかし、これではロープの後ろ側への移動が大変になる。いろいろ考えた結果、下写真のようにした(もっといい方法があればどなたか教えて頂きたい)。

黄色いロープはレーダーアーチに付け外しと長さ調整が簡単に行えるフックを使って固定。ロープはティラー中央より少し前で90度曲げ、ティラー先端部のティラークラッチに導いた。黄色いロープより後ろ側には行きにくくはなるが、ティラー先端部からそのまま左右にロープが張られているよりは格段に行動自由度は大きい。ティラー位置によるロープの弛みもほぼ許容レベル。またフックを使って船体に固定しているので、船に乗らないときは簡単にロープを取り外し、ティラーを立ててカバーをかけることもできる。本当はティラークラッチ本体をもう少し後ろに設置したかったが、ティラーエクステンション取付ボルトと干渉するため、これで良しとした。尚、ティラー下部の取付状態は下記写真の通りである。

使用感

これを取り付けた段階では、愛知へ回航以降まだセーリングしていない。初セーリングについては別途記載するが、やはりこれはあってよかったし、ほぼ思った通りの機能を果たしてくれた。時に着岸時である。ティラーとエンジンスロットルともやいの3つを一人で扱う場面では、本当に役立った。

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