日本からの直線距離では意外と近く、ずっと行きたかったがまだ行けていなかったアラスカ。2021年にNorthern Pacific Airways(後にNew Pacific Airlinesに社名変更)が設立され、日本とアンカレッジの直行便が計画されて期待していたが、諸事情により運航目途が見込めなかったためあきらめてアメリカ本土の経由便で計画を立案した。恐らく直行便なら7時間程度でアンカレッジまで行けるのだが、経由便だとその2.5倍から3倍程度の時間となる。アラスカにはいろいろな楽しみ方があるが、私達は美しい景色と動物を楽しみたいと考え、6月に訪れる計画をした。今も仕事はしているが、会社勤めの時と比べると自由度は高い。折角なので約2週間の計画とし、比較的ゆっくりと過ごせるようにした。ざっとした計画は下図の通りである。フライトはANA特典。宿泊はBOOKING.COM。レンタカーは今回はALAMOが安かったのでここで予約した。

事前準備(フライト、宿、レンタカー以外)
食事
今回の新たな試みとして、できるだけ自炊するように準備した。いろいろ準備を始めてわかったのだが、とにかく物価が高い。当然円安は最大要因だと思うが、6月はアラスカのハイシーズンであるのも要因かもしれない。レンタカーは7か月前に予約(直前になると価格の高い車しか残っておらず非常に高くなる)し、宿も同じころに予約。食事はある程度の日本からの持ち込みと現地スーパー買い出しでの自炊を予定した。食事に関する今回の新たな試みとして、1つは米を持ち込み電子レンジで炊飯することにチャレンジ。これは最近使い始めた「ちびくろちゃん」(下写真、アマゾンより転載)が思ったより美味しく炊飯できた(パックライスより確実に美味しい)ことと、予約した宿の半数以上に電子レンジがあることが確認できたため。

もう一つは、下写真の電気ケトルを購入して持参。お湯が沸かせることで味噌汁やカップ麺など食事の自由度が格段に広がるので。

その他食材も小型スーツケース(機内持ち込みサイズ)1個に詰めて(下写真、旅の途中で撮影)持参した。結局全行程(現地11泊)中の外食は夕食3回のみであった。

注意点は、アメリカでは肉類の持ち込み禁止などの食品持ち込みに関するルールがあるのでそれを守れる食材にすることと、入国時にしっかり申告すること。食品を英語で説明するのが面倒だったので、下記リストを作成し持参することとした。

現地支払方法
最近はクレジットカードを海外使用時の手数料も高くなり、今は2つのドル口座を持っている。元々はSMBC信託銀行のプレスティアカード(デビットカード)だけであった。しかし、タッチ決済が主流となった今、カードを紛失するとすぐに悪用されてしまうリスクもあるので、できるだけカードを出さずにアップルウォッチのタッチ決済が最も支払いがシンプルで簡易で安全だと考えている。しかし、プレスティアカードはアップルペイに対応していないので、新たに作ったのがアップルペイに対応しているソニーバンクカード(デビットカード)である。これは前回の海外旅行前に準備していたが、渡航初日の現地での現金引き出し時に、私の不注意によりこのソニーバンクカードがブロックされて使えなくなった(自分が悪いのだが、日本と海外では現金引き出し時の暗証番号が別々に設定でき、異なる番号で設定していたことを忘れていた)ため、前回は一度も使えなかった。今回は改めて準備し、全てこれで済まそうと考えていた。
初日:日本~アンカレッジ
フライトは名古屋~成田~羽田~サンフランシスコ~アンカレッジ(成田~羽田間は電車移動)。自宅を昼頃に出発し、アンカレッジには同日23時頃の到着という計画である(時差は17時間)。アンカレッジではレンタカーを借りて、空港近くのホテルまで移動しなければならなかったが、日没時間が23時頃なので暗くはならないだろうと思い、あまり心配はしていなかった。唯一心配だったのは、サンフランシスコでの乗継であった。入国審査、荷物受け取り&預け直し、セキュリティ通過が必要だが、乗継時間が2時間12分しかなかったこと、最近アメリカでは人手不足等で空港でのセキュリティ検査などに長時間を要する場合有との情報もあったためである。
出発の約一週間前であるが、いろいろ調べていてMPC(モバイル・パスポート・コントロール)アプリを使うことで、アメリカへの入国審査を短時間で済ませることができるということを知った。ネットで調べれば説明がいろいろ出てくるが、ANAの説明が比較的わかりやすい。早速アプリをダウンロードして準備した。
MPCでは入国審査の4時間前以内に顔写真を撮影する必要があるが、これは通信環境下でないとできないので、サンフランシスコ着陸と同時に早速準備を開始した。まずは通信の接続を行い、これができれば顔写真の撮影。そして登録すれば準備は終わりである。比較的スムーズに手続きでき、すべて機内で済ませることができた。飛行機から降りてからは順路に沿って進み、入国審査場ではMPCの表示のあるところに入っていけばいい。これまでアメリカの入国では何十人も前に並んでいて待ち時間が長い記憶しかないが、MPCレーンでは前にいた一人の手続きを待っただけで、非常にスムーズであった。入国審査では食料についても聞かれたが、準備していたリストを見せることで、問題無く通過。その後、税関があるだろうと思っていたが、結局税関らしきゲートは無かった。入国と乗継は非常に順調であった。
アンカレッジにはほぼ定刻通り、23時前に到着。空港ではムース(下写真)が出迎えてくれた。

レンタカーもスムーズに借りることができ、この日はアンカレッジ郊外のホテルまで10分程度で直行。ホテル到着は24時であった。
2日目:アンカレッジ~デナリ
今日は基本デナリまで行くだけなので、出発をそんなに急ぐ必要はない。距離や約400kmだが、5時間もあれば行けるだろう。アンカレッジ市街を抜け、進むにつれて景色が変わってくる。下写真は、この日の最初の目的地であるデナリビューポイントサウスからの景色。天気が良く、いきなりデナリ山がくっきりと見えた(下写真中央部、雲の上)。デナリ山はなかなか見えないらしいが、結構幸運かも知れない。

この辺りからは絶景の中、気持ちのいいドライブが続くが、時差で眠くもなってくる。道沿いのパーキングエリアで少し仮眠していると、大きな汽笛?に起こされ、外を見ると絶景の中をアラスカ鉄道が走っていた(下写真)。

下写真はデナリ国立公園の入口。

時間があったので、公園にも少し行き、タイミングよく行われた犬ぞり実演などを見学した。この犬達はただ力を出すために頭数が繋がれているのではなく、性格や経験に応じてそれぞれ役割をもって配置されているとのことであった。

その後はヒーリーの宿(White Moose Lodge Hotel、下写真)へ。デナリ国立公園入口からは、20km弱の距離があるが、手ごろな価格であった(それでも約200ドル/泊、160円/ドルなら32000円/泊)のでここに3泊した。尚、写真に写ってる青い車が今回のレンタカーで日産のローグ(日本名:エクストレイル)。借りた最初は大きな車!と感じたが、実際に乗り出してみると、アラスカでは比較的小さめの車という感じ。

チェックイン後に、米を研いで水に浸した後、近くのスーパーへ、野菜、ウインナー、ドレッシングなどの食料の買い出しに行った。夕食はご飯、味噌汁、生野菜、ウインナー、果物など。アメリカの電子レンジは700Wか900Wのものが多く(今回の経験では)、まず出力値を確認して、出力調整と時間設定を行う必要がある。また、スイッチの表示や設定方法も日本と異なるので、最初は戸惑ったが、ネットで調べれば使い方もわかったので、何とか使うことができた。ご飯の出来栄えもばっちりで美味しく頂くことができた。
3日目:デナリ
デナリは天気が悪いことも想定して、3泊し、丸々2日以上滞在できるようにしていたが、本日も快晴である。一般車が入ることができない国立公園内へのバスツアーは明日を予約していたので、本日は入口近くのショートハイキングを数か所回ることとした。最初に向かったのは、Savage River Loopという一般車が入れる最奥部にあるトレイル。駐車場が狭く、駐車できないことを心配して7時頃に宿を出発した。公園内に入って少し進むと、いきなりのデナリ山(下写真)である。昨日とは見る方向も違い、見え方も違うが、どっしりと威厳を感じる。

駐車場に到着した時には、まだ車が一台も無く、一番乗りであった。が、誰もいないと今度は逆に心配になってくる。特にトレイル入口で熊注意の看板(下写真)を見ると猶更である。

このトレイルは「Savage River Loop」という名称からもわかるように川沿いに歩いて最奥部で橋を渡り、反対側を戻ってくることができるようになっている。我々は駐車場のある右岸側から熊鈴を手で揺らして音を出しながらトレイルに入っていった。暫く進むとトレイルの状態が悪く行き止まりになっていたので引き返したが、その時の景色が本当に素晴らしかった。これぞアラスカ、デナリという感じである。


駐車場まで戻った後は、川の反対側に渡り、そこから最奥部まで進むこととした。上の写真の川が、少しトレイルを進むと下写真のようになる。

熊が出てこないか、最初はびくびくしていたが、結局出会った大型動物は下写真のドールシープのみであった。出会ったといってもとても遠くに見え、かろうじて写真に撮れる程度。

小型動物では、下写真のウサギ、ライチョウ(オスとメス?)など。熊はそう簡単には出会えないようである。



最奥部の橋まで行った後は同じ道を引き返したが、この頃になると他のハイカーも増え、駐車場に戻った時には満車になっていた。
次に行ったのは、Mountain Vista Trail 。あらかじめ行先を決めていた訳ではないが、時間もあったので行ってみることにした。ここは一周回っても20-30分程度のショートコースだが、少し進むと川沿いにも出ることができ、ここにも絶景が広がっていた。

ジリスであろうか、近寄ってもなかなか逃げない。最初の内は素晴らしい景色や動物に遭遇するたびに感動していたが、段々と普通の景色になっていった。

Mountain Vista Trailの後は、Horseshoe Lake Trailへ行った。トレイルの入口は線路脇にあるが、入口到着時に少し眠くなり、少し車内で仮眠。すると突然何回もの大きな汽笛が聞こえ、車から飛び出すと丁度そこにアラスカ鉄道がやってきた。一度乗って見たいものであるが、一体いくらするのであろうか?今回の旅行では最初から諦めていたが、目の前で見るだけでも何か嬉しかった。

Horseshoe Lake Trailは一周一時間くらいであろうか?今はビーバーは居ないようだが、ビーバーダムを見ることができた(下写真)。

本日も夕食は自炊である。
4日目:デナリ
本日はバスツアーである。日本出発前の下調べでは、満席になるので予約必須との情報であったが、今は道路の土砂崩れ修復中で本来の半分くらいの箇所までしか行けないためであろうか、比較的空きがあった。下写真は当日出発前の状態で、我々はAM7時のバスに乗ったが、かなり余裕がありそう。

下写真はバス乗り場でバス待ちの列ができている状態。出発20-30分前だったと思うが、まだ10人もいない。ただ、バス出発前には結構人が集まり、席も8-9割埋まる状態となった。

バスからは素晴らしい景色が楽しめ、今日もデナリ山がくっきりと見えた(下写真)。

動物に関しては、残念ながら熊には出会えなかったが、エルク、ドールシープ、ビーバーは見ることができた。ただ、距離が遠いので写真にはなかなか撮れないが、持参した16倍の防振双眼鏡でその動きはくっきりと観察することができた。双眼鏡は必須である。ちなみに下写真は遠くにいるエルクだが、写真ではかろうじてわかる程度。

下写真はバスの折り返し点である。本来はここから先にもっと素晴らしい絶景が待っているのであろうが、今は行けないので仕方がない。今年中に道路は修復完了し、来年にはもっと先まで行ける予定とのこと。ここでバスを降りて河原を散策し、後のバスに乗る人もいたが、我々は15分程度の休憩のあと、同じバスに乗って戻ることとした。

公園入口までバスで戻った後は、近くを散策したりビジターセンターを訪れたり、デナリを満喫し、その後は夕食材料の買い出しと、明日以降の移動のためのガソリン補給に行った。ガソリンはまだ半分弱残っていたが、アラスカではガソリンスタンド間の距離が遠いので、念のために補給することとした。今回の旅行で初めてのガソリン補給なので、まずガソリンの入れ方から学ばないといけなかったが、なかなかわからない。そこで隣でガソリン入れてようとしている人に聞いて、その人が実際に入れるのを確認してから、自分でも同じようにやってみた。しかしなかなかうまく進まない。隣の人が、私がもたついているのを見て、サポートに来てくれたが、どうやらカードが受け付けられないようだ。こういう場合は店内に行って聞けばいいと教えてもらい、店内に行ったが、担当の人がいない。結局最初のガソリンスタンドは諦めて、すぐ隣のスタンドに行くこととした。しかし、ここでもカードが受け付けられない。今度は店内に人がいたので、事情を話すと、店内で定額プリペイド支払いをしてからならガソリンを入れることができるとのことだったので、そのようにした。払った分のガソリンが給油できない場合はどうなるか聞くと、それは後で払い戻される!とのことであった。結局、給油はできたが、約2000円程度払い過ぎ状態。いつ払い戻されるのかは確認していなかったが、帰国後現時点、まだ払い戻されていない。だめならこれは諦めるつもりである。

また、今回の給油ではドル口座をもっている、ソニー銀行のデビットカードとSMBCプレスティアのデビットを試したが同じ結果(機械では受け付けられない)であった。この2社がだめなのか、デビットカードがだめなのか分からないが、後日の給油で三井住友のVISAクレジットカードを使った時にはすんなりと問題無く給油できた。クレジットカードは手数料等が高いのであまり使いたくは無いのだが、ガソリンスタンドではこれしか使えず、以降の給油ではこのクレジットカードを使用した。
5日目:デナリ~フェアバンクス~デルタジャンクション
今日はデルタジャンクションまで行くことは決めていたが、フェアバンクス通過時にチェナ温泉にいくかどうかは前日まで決めていなかった。デルタジャンクションまでなら約330km。チェナ温泉に寄り道すると、約500kmになってしまう。フェアバンクスで観光するところも目ぼしいところはなかったので、いろいろ考えて結局チェナ温泉に行くことにした。
3泊したWhite Moose Lodge Hotelは運がいいとホテル前までムースがやってくるらしく、期待はしていたが結局まだムースには出会えていない。もしかしたら今日は会えるかも!なんて話しながら出発すると、幹線道路に出て加速中に早速ムースに出会うことができた(宿から数百メートル)。対向車線で車が止まっていて、3人ほどが草むらの方を見ていたので、もしかしたらとよく見るとムースがいたのである。早速減速Uターンして見にいって撮影したのが下記写真である。比較的近距離でしっかりと見ることができた。暫くムースと目が合った状態だったが、その後、ムースはゆっくりと森の中へ入っていった。今日は天気もどんよりとして、気持ちも少しどんよりとしていたが、ここでムースに近距離で出会えたことで、一気に気分は向上してワクワク気分。人間なんて単純なものである。

高揚した気分のままフェアバンクスに到着し、ビジターセンターを見学。無料であるが結構見応えがある。その後近くを散策。下写真のようなムースのアーチもあったが、

気になったのは、下写真のほぼ垂直に設置された、或いは家の壁に設置されたソーラーパネルである。不思議な気もするが、ここフェアバンクスの日照角度を考えると南向きにこのようにほぼ垂直に設置するのが最も効率的なのだろうと考えると納得。

その後、フェアバンクス近くのアラスカパイプライン(下写真)を見学した後、温泉に向かった。

温泉は思ったより賑わっており、ほんのり硫黄の香りのする心地よい温泉であった。平均的には少しぬるめだが、湧き出してきている場所だろうか、場所によっては熱い。一時間程度、温泉を楽しんだ後、本日の宿であるデルタジャンクションに向かった。

一般道とは言え、速度は時速100km近くで走っているのであるが、沿道に動物がいないかはやはり気になる。チェナ温泉からフェアバンクス方面に戻る途中で、走りながらであったが、池を泳いでいるムースを発見し、少し先の少し広いところで停車。走って戻り、ムースを観察することができた。朝に会った時よりも距離は遠いが、ムースは池の中で立ち止まり、こちらを見ている。暫くその状態が続いた後、ムースは方向転換して、また池の向こう側へ泳いでいき、最後は森に消えていった。一日に2回も沿道でムースに出会えるとは非常にラッキーなのかもしれない。

デルタジャンクションに向かう途中では、サンタクロースの街として有名らしいノースポールのクリスマスショップに立ち寄った。店内は6月でも下写真のようで、意外と賑わっていた。

その後デルタジャンクションが近づくにつれて広い河原と美しい山並みと氷河も見えてきた(下写真)。名前はわからないが、アンカレッジとフェアバンクスの間を東西に走りデナリ山にもつながる山脈の一部であろう。

この日はあまり天気も良くなく、約500kmの移動となったが、2回もムースに出会えたこと、チェナ温泉が思ったより良かったこともあり、結構ワクワクの一日であった。明日は景色を楽しみながらのバルディーズへの移動であり、明日以降は海がメインとなる後半である。尚、宿でチェックインの後はすぐ隣のスーパーへ歩いて買い出しに行き、本日も自炊で美味しいご飯を頂いた。毎日美味しいご飯と現地調達のたっぷりの野菜を食べているせいか、体調もすこぶる良く、明日からの後半も楽しみである。
